「生き霊様をみてる」
「……私、今、黄薔薇さまを見た」
「え?」
「そうよ。黄薔薇さまだったんだわ、今いた幽霊!」
祐巳は興奮して言った。しかし、こんな説明では由乃さんにはわかるはずない。
「落ち着いてよ、祐巳さん。黄薔薇さま、って? 黄薔薇さまは生きているから、幽霊なんてなるはずないでしょ?」
「じゃ、生き霊……?」
(それなのに、私ったら。いつもお姉さまに気を遣ってもらう一方で。何も返すことができなくて)
「この際ですからはっきり言わせていただきますけれど、私の妹を甘やかさないでくださいね」
叱られているっていうのに、どういうわけか頬が緩む。
「は、はいっ。福沢ですっ」
すると。
『夜分申し訳ございません。私、リリアン女学園高等部二年の小笠原----』
「お姉さま!?」
『ああ、よかった祐巳なの?』
間違いない。受話器から聞こえる、それは大好きな祥子さまの声。
「うわぁ」
そのままベッドに寝転がった。
ゴロゴロ。ゴロゴロ。
「お姉さまから電話もらっちゃった」
しばらく興奮が収まらない。
何だかよくわからないけれど、数分前の自分からは考えられないほどしあわせだった。電話一本で、こんなにしあわせになれるなんて。
…そんなマリみてからの引用だけで構築したお祭りオフのレポ。
その場にいても全然意味が分からないだろーなー。
ちなみに…おみはマゾです。